カルタゴの主神。カルタゴの大地母神タニト Tanit の夫。
バール・ハンモンとは「燃え盛る炭火の主人」、「香気に満ちた祭壇の主人」という意味である。
しかし、バール・ハンモンの起源はリビアのベルベル人に崇められていた雄羊の神にあるらしい。カルタゴからチュニス湾にかけて横たわる2本の角を持つ山、 Djebel Bou Kornein 山がその御神体で、バール・ハンモンに捧げられる祭儀がここで執り行われた。ここではこの神は「バール・カルナイム Baal Qarnaim (2本の角の主)」と呼ばれた。
バール・ハンモンカルタゴの歴史を通じて重要な神性でありつづけたが、は紀元前500年頃からカルタゴの主神の座はタニトのものとなっていった。
この神性はエジプトの最高神アメン・ラー Amun-Re に相当する [parallel] もので、アレクサンロス大王の訪れたアメン神殿は最大のバール・ハンモンの神殿でもあった。
ギリシア人はバール・ハンモンをクロノスと、ローマ人はサトゥルヌスと同一視した。
バール・ハンモンとタニトに捧げられたカルタゴの聖域トペテでは、この夫婦神に幼児の犠牲が捧げられたといわれており、実際この場所から多くの幼児の焼け焦げた遺体が発掘されている。が、カルタゴの支配地域で幼児の墓が発見されていないことから、幼児はここで荼毘に付された、とする学説が提出されている。
著者自身はどちらが正しいとも言い切れず、判断はゲームマスターに委ねる(幼児犠牲はシナリオのネタを多く提供するだろう!)が、ここではバール・ハンモンには審判者として、タニトには(特に幼児の)保護者としての性格を付与している。