ドワーフの神話
Mythoes Mostalorum
 
八つの古き金属(創造以前)
二柱の創造の神がそれぞれに世界を創ろうと試み、エルフとモスタリを創った。二柱の神は繰り返される過ちに苛立ち、努力を結集して、最後には完全な成功を達成した。二柱の神の合体から、この世界の最初の生命であるグローランサが生まれた。
源初のエルフの概念、育み手は世界を造るための未加工の原料を取り、それを掻き立てて生命へと育て上げた。
源初のモスタリの概念、造り手は自分自身の粗削りな分身である石のモスタリを創り、彼らに手伝わせて、よりすぐれた分身を創った。それが錫のモスタリで、造り手は今度は彼らに手伝わせ、さらによくできた分身を創った。このようにして八つの古き金属が創られた。八つのモスタリはともに競いながら、世界機械を作った。
しかしその後、モスタリたちは育み手に不信の念を持ち、この協力関係を否定した。
世界機械(世界の創造)
創造の以前に、世界機械(無知な者によってモスタルとして擬人化される存在)が動き始めた。今ではモスタリのみが知るこの事件によって世界を創るという非人格過程が始まった。
石の死(初期の闘争)
世界機械のもととなった物質である、生命と魔力を持つ石は、汚らわしいエルフたちによって殺され、永遠に熱なく命なきものとしてしまった。
世界機械の破壊(嵐の時代)
エルフやトロウルや“破壊者”ウーマスなどの輩が、無謀にも世界機械が破壊したとき、土のモスタリが創られた。彼らは機械に群がって修理を始めた。現在も作業は着実に進んでいる。
混沌の襲来(大暗黒)
機械の外より混沌の襲来し、モスタリの古き神聖な種族は、ほとんどが破壊された。
時の始まり(大いなる盟約)
カージャボールは神代にワクボスに殺され、地獄へ落とされた。彼はそこで最後の砦に集まっていた神々の残軍に相対した。
すべての神が死の国に集まり、混沌による最終的な滅亡を待つばかりとなったとき、すべての神は協力して、アラクニー・ソラーラが混沌と戦うことを助けた。彼女はカージャボールを網で絡め取り、その脚で彼を包み込み、激しく組討ち、ついには彼を生きたまま貪り喰った。その結果エントロピーと存在の組合せが生じ、秩序ある宇宙を支配する時へと創り上げられた。アラクニー・ソラーラは神々の誓いを糸に紡ぎ、それで全宇宙を繋ぎ止めた(大いなる盟約) 。
神々は古くからの仕事に戻ることができたが、時の降臨以前のように、制約に捕らわれず、思うが儘に行動することは出来なくなり、別の世界へと引き籠もっていった。
曙(大いなる盟約)
強大な敵の存在、また時のもたらした荒廃にもかかわらず、旧に復しつつある世界機械は、いまだ正しく従順に機械内の法則にしたがって動いている機械の一部、太陽を東の地平線から昇らしめた。機械はまこと旧に復しつつあるのだ。
開手主義(曙の時代)
外の世界と関わることを恐れないモスタリたちが現れた。彼らがモスタリの秘密を人間に教えたため、世界はグバージ戦争へと導かれていった。また彼らの考え方を認めないモスタリたちと開手主義者との間に内戦が起こった。
個人主義(帝国の時代)
後の“解放者”チャークは、グバージ戦争とモスタリの内戦に心を悩ませた。彼は宗教に慰めを求めて、ヒーロークエストに乗り出した。彼はこのヒーロークエストから、「すべてのモスタリは自己の魂を以てモスタルを体現しうる」という思想を持ち帰った。
以前は無気力であった何人ものモスタリが、この哲学に接した後、彼ら自身の運命と独創性を捜し求めようと決心した。このことはモスタリの社会に大きな衝撃を与えた。
信心深い“解放者”チャークの骨は、やがて石に変わった。
八鉱主義(帝国の時代)
多くのモスタリは彼ら自身の愚かさと異端思想が、どのようにしてグバージ戦争という破局をもたらしたかを見た。そしてモスタリが若い種族と競って生き延び、世界を修理することなど出来はしないと知り、モスタリは世界を離れ、ダイアモンドや鉄の地位のような虚飾を切り捨てるべきだと説くモスタリたちが現れ始めた。
赤い月(最近の数世紀)
新しい女神が生まれた。赤い月は最初若い娘に過ぎなかったが、次第に強い神性を獲得していった。しかしこの世に赤い月が昇ることは、古くから予言されてあった。それは世界機械が、本来の予定通りに修復されつつあることを物語るものだ。

Extremum Scriptum "Mythoes Mostalorum"