プラックスの神話
Mythoes Praxiarum
 
世界の創造(世界の創造)
思い出すこともできぬほど遠い遠い昔、今はもう死んでしまった神々がこの世を創った。
ジェナートと穀物の神(植物の創造)
大地の女神の息子ジェナートは大地の女神とともに、数多の女神を生み出した。女神たちは穀類の母となった。
ジェナートの治世(黄金の時代)
ジェナートは王として黄金の時代を治めた。そのとき、人の住む地はすべてほどよく湿った花園だった。食い物は至るところにあり、兎は人を恐れもせず、近くにきてのんびりものを食べ、土に種を落として少しして戻ってみれば、種はもう芽を葺き、大きな木になって実をつけるのだった。
混沌の侵攻(大暗黒)
いまはもう死んでしまった古い古い神々も終いには間違いを犯してしまった。混沌とまっすぐつき合おうとしたのだ。そこで大暗黒がやってきた。混沌の化け物がやってきて、木を溶かし、土を固い石に変えてしまった。
オーランスが自身の謀りで悪をこの世に呼びこんでしまった。大きな過ちを犯し、それを償おうとして、もっと大きな間違いを起こし、この世を余計悪くしてしまった。
オーランスが自身の謀りで悪をこの世に呼びこんでしまった。大きな過ちを犯し、それを償おうとして、もっと大きな間違いを起こし、この世を余計悪くしてしまった。
イェルムは世を高みから操って、それで混沌と戦おうとした。自分の体と魂のすべてを挙げて戦わなかった神々は、すべて死んでしまった。イェルムも死んでしまい、今では光はあるが虚ろな貝殻に過ぎない。
モスタルもまた体と魂のすべてを使って戦おうとせず、道具で戦おうとして、やはり敗れた。
アルドリアは混沌がどんなもので世の中の緑をどうしようとしているか、それに気づかず、自分の民を見殺した。
マガスタは知恵と誤魔化しで混沌と戦おうとした。そうしようとした者はみな敗れた。マガスタも敗れ、今では影のようになってしまい、悪い神々の見えない槍で体をつき刺されている。
ゆりかご川(大暗黒)
岩叢嶺山脈 [Rockwood Mts.] の頂に住んでいた水の神ゾーラ・フェルは、帰郷洋を助けよるために、山頂から飛び降り、平原を縦断して海に帰っていった。彼の通った後にできた道は川になった。
彼は岩叢嶺山脈に住む偉大な巨人族の協力をとりつけていたが、川ができてから、巨人族は自分たちの子どもを揺り籠に乗せて海に流すようになった。
ジェナートの死(大暗黒)
混沌がやってきたとき、地表の支配者ジェナートはその氏族みなを呼び集めた。黄金の民を、赤銅の戦士団を、大空の槍を、ホワイト・エルフを、そしてまた我々の遠い祖先を。彼は驚異の軍隊を率いて混沌の軍勢と戦った。辛い戦いをよく戦い抜いた。しかしジェーナトは敵に貪り食われ、軍団は壊滅した。このような破壊を被った者は世界の輪廻から永遠に離れてしまう。彼の存命中は平和と豊饒が満ちていたジェナートの花園も、もはや回復することの無い彼個人の生命力と結びついていたため、今や不毛の荒野と酸の沼となった。古き時代は彼方へ去った。ストーム・ブルだけがたった一人で混沌を敵に回して踏み止どまり、悪い魔物をその手で殺した。他のすべてが死んでしまったとき、彼は雄叫びをあげ、その腕で混沌を打ち負かすべく、この世の果てまで突っ切っていった。混沌の大群を率いていたティエンはストーム・ブルに捕まり、真っ二つに引き裂かれた。ストーム・ブルはまた悪魔ワクボスと戦って侵攻を食い止め、ワクボスはまことの石の巨大な一枚板石塊によって打ち砕かれた。しかしこれらの戦いにおいて、彼は深手を負い、その力は弱まってしまった。
“創始者”ワッハ(生への闘い)
さて、ワッハはストーム・ブルの子だった。土の中からこの世に出てきてみると、地上は暗く、混沌の化け物がうろついていた。人々はしなびてきも生えなくなった土の上をさ迷い、辛さのあまりぼうっとなって、そのまま死んでいくのだった。
ワッハは生涯を通じて遊牧民の地を旅し、最後の破滅を生き延びた主なき惨めな者たちに、苛酷な土地での生活に適した生き延び方を教えた。“よき狩人”ワッハは人々を集めて新しい生き方を示し、“カーンの中のカーン”ワッハは悪い精霊からアイリーサの娘を助け出して、お礼に人々が獣を飼うことができるようにしてもらった。“すべてのカーンの父”ワッハは新しい首長を生み出すため、彼らのうちから妻を娶り、自分の血筋を引く様々な家を始めた。“混沌を殺す者”ワッハは地上から混沌を追い払って、この世をきれいに住みよくした。“炎をもたらす者”ワッハは野性の炎の神、心の拗けたオークフェドを飼いならし、もって人の焚く篝火とした。“知恵の”ワッハは我々に身振り手振りと結縄文字を教えてくれた。“大地を押さえる者”ワッハはこの世を無闇にぐらぐらとしない、落ち着いた動かぬものとした。“与える者”ワッハは屠られた獣の魂を獣の母のもとへ送る術、穏やかな死の呪文を我らに教えた。“戦士”ワッハは人が家畜を守れるよう、武器を取る術を教えた。“守る者”ワッハは大運河を掘り、そして運河に命じた、そこに横たわる悪魔の身を運び、溶かし尽くせと。そして“教える者”ワッハは獣を駆る術を我々に教えてくれた。
くじ引き(生への闘い)
この頃、生き物はみな腹を空かせていた。食べ物が少なすぎたのだ。そこでワッハはみんなを呼び集め、みんなが生き残るために、誰が何を食う、誰が何を食うという取り決めをしようとした。ある者は藪の木や草や土の根を食う獣になった。そうでないものは人間になって、草を食う獣たちを食べるのだった。生き物はみんなでくじを引いて、誰が食べる役になり、誰が食べられる役になるかを決めた。くじに勝って人間になったのは、我々ヒトと、それをいかさまにしたモロカンスだった。そういうわけで、我々ヒトは獣に乗り、獣の肉を食べるようになり、モロカンスも同じことをするようになったのだ。
大いなる狩人(大暗黒)
大いなる冬のただなかに、ワッハはは泣きわめく赤子として見出だした。手を貸す女が彼を成年になるまで育て上げた。彼は自分につき従う迷い人たちの一団に、戦の武器(弓、槍、石など) を狩り(食用に動物を殺して命をつなぐこと) に用いることを教えた。
祖霊の道標(生への闘い)
この世が混沌に呪われたとき、わずかに生き残った人々は様々に苦しみ悩んでいた。精霊に驚き、魔物に恐れ、生きている者も死んだ者も、一緒になって畏れ惑うばかりであった。
このときダーカ・ファールは世を隈無く歩いて周り、生きている者と死んだ者を分かち、正しく居所を定め、やるべき仕事、為すべきことを告げ知らせた。こうして世に物事の順ができ、正しい信仰というものができた。
ワッハの教え(曙の時代)
“葬る者”ワッハが遊牧民に荒野での生き方を教えることで、再び大荒野は人間の住むところとなった。彼ら大荒野の遊牧民は、インパラ、バイソン、縞馬など特定の動物のみを飼い、それに乗らなければならない。馬は絶対的な禁忌であり見つけしだい殺されなければならない。
赤い月(最近の数世紀)
新しい女神が生まれた。しかしその女神、赤の女神は悪い神で我々を根絶やしにしよう、我らの友を皆殺しにしようと思った悪い人々によってこの世にもたらされたものだ。はじめはこの世の隅に生まれたが、今はこの世のあらゆるところにその手を伸ばしている。我々の胸の中にさえも手を伸ばしてきている。誘いと、うそと、恐れとを振りまいている。

Extremum Scriptum "Mythoes Praxiarum"