ペント
Pent
http://www2u.biglobe.ne.jp/~BLUEMAGI/TradeinGlorantha.pdf
輸入品:
小規模ながらペローリアからのさまざまな金属製品、忘却王国の天京府からのさまざまな商品、とくに「黒蓮丹」
 
輸出品:
馬、民芸品、「黒蓮丹」の再輸出

 ペントではまったく交易業は停滞している。わずかに部族間で奢侈品、金属製品、優れた民芸品がやり取りされているが、馬と家畜の交易は盛んである。

 ペントの遊牧民は孤立主義で自給自足的である。もしここに収益の上がる交易ルートがあるとしても、かつてそれを見つけた者は一人もいない。ペント人は金属製品を除いて外来の品物をほとんど欲しない(1)。遊牧民はペローリア東部や忘却王国の天京府からまれにこの地を訪れる者たちからわずかな交易品を得ている。紅毛族 [Red-Haired tribe] はルナー帝国の辺境に沿って平原を横切り、大して利益の上がらない交易業に携わっている。こうしたキャラバンを襲って奪った外国の商品の多くはペント人の中でもっとも裕福な者のテントの中に収まっている。ペント人の従事する交易で最も重要なものは、ペントの頑強なポニーとペローリアの青銅との交換である(2)


  1.   地球においては、孤立主義の遊牧民など聞いたことがない。
     遊牧民の主要な産業は、交易ルートから上がる関税か、掠奪であるが、いずれの場合でもつねに周辺諸国より優れた軍備を整えておかなければならず、これを購う資金を得るために彼らは可能な限り商業に努め、また技術の習得にも熱心である。
     本論も含め、RuneQuest では遊牧民の文化を過少に評価する傾向があるように思われる(これは西洋人の一般的傾向でもある)。

     確かに、この大平原に水脈がなく、地球のシルクロード交易よりは困難であるように思われる。
     シルクロードでは、タクラマカン砂漠をはじめ、荒涼とした土地を抜けていかなければならないが、この荒地に面して天山山脈をはじめとする山脈がそびえており、これらの雪解け水が地下水脈を通ってオアシスで湧き出て、旅人を救っている。
     しかるに、ペントには雪解け水を湛える山脈がない。さらに、草原では、砂漠と違ってわずかな水も草が吸い上げてしまうため、人間が利用できる水は砂漠より少なくなる。
     だが、似たような環境にサハラ砂漠があるが、そこに利益があるために困難にもかかわらずサハラを縦断する金貿易は盛んに行われた(この場合にも、交易ルートを支配する遊牧帝国はやはり成立する)。

     最近Martin Laurioeは、ペントの中部平原にオーラソーンに似た都市国家があるのではないかと推測していた。これらは、シェン・セレリスの統治下で栄えていたらしい。

  2.   銃器以前の戦争の最大の道具は馬であり、馬の交易は重要である。中国では、茶馬貿易と呼ばれるものが成立するほどであった。
     ペントに接するペローリアやクラロレラは、ペントから盛んに馬を輸入しているはずである。