セシュネラ
Seshunela
http://www2u.biglobe.ne.jp/~BLUEMAGI/TradeinGlorantha.pdf
輸入品:
繊維製品、さまざまな奢侈品、[飢饉の]時にはペローリアやエスロリアの穀物、ラリオスの手工業製品、ラリオスの武器、ソッグ市の呪付物、ソッグ市の魔道書
 
輸出品:
鉄(全グローランサの供給量の半分以上を占める)、調教された軍馬

 セシュネラの国内貿易はあまり発達していない。[というのも、]貴族しか外国製品を入手する余裕がないからである。加えて、セシュネラの貴族は都市の職人や商人からなる市民層の勢力拡大を危惧している。そうした市民層の勢力拡大はこの地域の社会的・文化的理念とは相容れない(1)。セシュネラのほとんどの地域で、大部分の貴族は召使を抱えていて彼が外部の商人と接触する一方、農奴は農産物や手芸品を扱う村の市場にしか赴くことがない。

 在地の貴族層はタニアー川を下ってノロスウォルに至り、さらにはフロネラに再送されるラリオスの商品にたっぷりと完全をかけて莫大な利益をあげている。ノロス公とパゾス [Pasos] 公は交易事業を促進させて、フロネラまで往復する商船隊を艦隊で護衛してその代償をせしめようとしている(2)

 毎年、海の季の最終週に大規模な馬の市がセギュラーヌ [Segurane] で国王主催の下に開かれる(セシュネラ王はすべての販売利益から 10% を得る)。外国商人がやってきてはセシュネラ軍馬を買っていくが、この馬は中央ジェナーテラおよび西方の全域で非常に評価されている。

 毎年、地の季のはじめの週の間は、鉄鉱山脈のモスタリがロールマル [Laurmal] の廃墟にやってきて、鉄を売る。カスカル侯ティエール [Tierre of Caskall] が[ロールマルの川を挟んで対岸にある]リーズ [Rhis] 城でこの交易を仕切っており、人間の商人からは全ての取引から 20% の手数料を取っている。セシュネラの残りの地域も[この鉄のおかげで]安価な鉄を入手でき、また鉄を運んで海岸やタニアー川を行く商人に課される関税から利益をあげることができる。


  1.   この地域の社会的・文化的理念、というよりも現在のセシュネラ王国の理念と相容れいない、というべきであろう。王朝が変遷すれば理念が変わることもありうる。
     社会様式の変化に抗して旧習を守ろうとした貴族たちが団結し、王と大商人をはじめとする市民層の連合に対立する図式はヨーロッパ各地で見られたが、必ずしも王と市民の連合が勝利を収めて、絶対君主制に移行していったわけではない。たとえばポーランドでは貴族連合が勝利し、18世紀に滅亡するまで貴族たちによる合議制で国家が運営された。
     セシュネラ王国の現状を見ると貴族勢力が優越していて、市民層による生産・流通活動を圧迫しているように見受けられる。一方で、セイフェルスターやノロス公とパゾス公によるクィンポリク同盟 [Quinpolic League] では市民層の擡頭が著しく、さまざまな商業上の技術も獲得しているだろう。セシュネラ王国は豊富な鉄と優秀な軍馬、堅固な封建制によって近隣諸国に比類ない軍事力を有していると思われるが、その内容はセイフェルスターやクィンポリク同盟の商人たちに蚕食されつつあり、いざ軍事行動を起こそうとしても補給の不備などが起こるであろう。

  2.   このような用心棒代を歴史用語で、プロテクション・レント [Protection Rent] といい、地代の一種と考えている。
     ノロス公とパゾス公は、クィンポリク同盟を組織して共闘しており、彼らはケタエラと協力してハンドラなどの海賊を一掃した。
     このクィンポリク同盟には2つの豪商、ドゥ・トゥメリーヌ [Du Tumerine] 家とカプラティ [Capratis] 家があって、それぞれノチェットとカーシーに商館を持っている。