イサリーズ
Issaries
http://www2u.biglobe.ne.jp/~BLUEMAGI/TradeinGlorantha.pdf

 イサリーズの商人たちはロカーノウスの商人たちよりずっと広い地域で活躍している。彼らは非常に柔軟で、混沌でない者となら誰とでも取引をする。イサリーズは補助貨幣の概念を考え出した。イサリーズの商人は宗教的に荷車の使用を禁じられているが、彼らはこの問題を非イサリーズ信者(オーランス人が支配的な地域ではふつうマスターコスの信者)を雇うことで回避している。これは典型的な神とカルトの関係であり、イサリーズは信者に「特別の場合を除き、マスターコスと“取引(つまり交渉)”すべし」と教えている。

 イサリーズの寺院は商人たちに種々の重要な支援を行っている。寺院は供託所(通常、預金には定率の手数料を取るが、支払には手数料を取らない)、貸し手・借り手双方が利用できる手形交換所(通常、ほとんど手数料を取らない)の役割を果たしている。また、寺院は寺院が所有する財物を担保に債務を保証している信用状を発行している。さらに、さまざまな種類の補償に応じた保険業務も行っている。

 イサリーズの商人にはその社会に応じてさまざまな者がいる。[イサリーズの商人は柔軟であると先に書いたが、例えば、]堅実な地方商人はロカーノウスの信者のように自分たちの商売に関して保守的である。また、旅商人は自分のポケット[の中の金]以外の何者も信用していない。こうした違いはだいたい下位カルトによって説明できる。隣人に自らの製品を売る職人や農民はハーストを崇める。旅商人、キャラバン隊、行商人といった、ある所で仕入れて別の所で売り払うようなことをしている者はみな、ゴールデン・タンを崇めている。大商人、小売業者、特定の拠点で商売を操作する事業家などはガーゼーンを崇めている。

 イサリーズの商人たちのその地方の執政機関に対する態度は、その商人によってさまざまである。ある者は愛国的だが、ある者は世界市民的な考えを持ち、またある者は利益があがるところにだけ自分の忠誠を向ける。世界市民的な考えを持つ者は、このカルトの普遍主義的な理念に共鳴しており、税を悪しきものと考えている。彼らは国家は商業政策に立ち入るべきではなく、こういう問題に造詣の深い商人たちに解決をゆだねるべきだ、と考えている。