魔道の産業利用
Utilization Sorcery for Occupations
 

 グローランサでは一般的に、魔術は戦闘などの非日常よりも日常で用いられる。以下に、各職業での魔道の活用法を紹介する。これらの職業の出身者はこういう魔道を持っていることが多いだろう。

農夫
《形成,青銅》は農具の刃先を常に鋭く保ってくれる。
《深傷》は硬くて良い木を切るのにとくに使われる。
《形成,青銅》は斧の刃先を常に鋭く保ってくれる。
《制圧,地上界動物》は熊に遭遇したときに効果的である。
漁師
《形成,木材》は船体を修復する。補修材は欠かせない。
《命の皮》は漁師のほとんどが覚えているが、とくに海女はこれによって信じられないほど深く潜って、美しい真珠を拾ってくる。
《窒息》は、遠洋で取れるマグロなどの大型魚を活きのいい状態で街へ届けるのに役立つ。ニシンなどでは採算が合わない。
牧夫
《制圧,地上界動物》は牧夫には欠かせない。
《再生》によって、牧夫はかわいい家畜を殺すことなく、一本のふくらはぎだけを「収穫」する。呪文はもちろん切断後すぐにかけられ、数ヵ月後に再び「収穫」できるようになる。
《手当》で、脚を切ってしまった家畜を手当てし、化膿しないようにする。
鉱夫
《感応,青銅》などは鉱夫に掘り進めるべき鉱脈を教えてくれる。
《形成,岩》は坑道を掘り進めるのを助けるばかりでなく、坑道に支柱を作る。
《形成,青銅》はつるはしの刃先を常に鋭く保ってくれる。
職人
《形成》は職人必須の呪文だが、結局のところ熟達した腕がないと間尺に合わない作品が出来上がる。クロスボウなどの内部構造が複雑な製品は部品ごとに《形成》される。鋳物や吹きガラスでは《形成》のために素晴らしい作品が出来上がり、西方の特産品となっている。
《形成,青銅》は職人の道具を常に鋭く保ってくれる。
《吸盤》は、釘打ちの前の仮止めに使われる。
料理人
《錯覚,味覚》を使った料理は西方では非難されない。術者は一流の味を知っていなければならないからで、主婦ではうまくいかないからである。
《テレポート》によって新鮮な食材をそろえる高級料理店は多い。
医者
《手当》は恒常的に用いられている。
《魔酔》も恒常的に用いられている。
《再生》も恒常的に用いられている。
《形成,青銅》はメスを常に鋭く保ってくれる。
《吸盤》は傷口を縫い合わせたり、切開後の縫合の前に用いられる。
《窒息》は死体の保存に用いられる。
輸送業
《テレポート》を用いる《転送円》のネットワークが西方に張り巡らされており、ほとんどの郵便物はその日のうちに届く。
兵士
《深傷》は兵士必須の呪文である。
《耐傷》も兵士必須の呪文である。
《形成,青銅》は刀槍を常に鋭く保ってくれる。
《テレパシー》は突入のタイミングを計るときに使われる。
《足かせ》を泥棒にかけて、彼を無傷で捕らえるのに使われる。
《錯覚,触覚》は、叩き伏せられて絶体絶命のときに最後の手段として用いられることがある。
水兵/海賊
《形成,木材》は船体を修復する。補修材は欠かせない。
《形成,青銅》は刀槍を常に鋭く保ってくれる。
《命の皮》をかけた水兵は敵船の下にもぐりこみ、艫綱を切ったり船底に穴をあけたりする。
泥棒
《耐傷》はここぞというときに壁を登ったり屋根を渡ったりするときに保険としてかける。
《魔酔》を眠っている家人にかけて、不慮の事態に備える。
《感応,黄金》などは家財のありかを泥棒に知らせる。
芸人
《変身,人を熊に》は「熊使い」必須の呪文だが、西方の観客は扮装くらいにしか受け取ってくれない。1360年代、ノロスウォルの“人使い”リュシアンは、熊に変身して人間に玉乗りをさせる芸で一世を風靡したが、これもいまや古典芸能である。
《形成,水》を使った伝説の芸人に、1410年代にダンクで活躍した“ウンディーネ”ラケルがいる。彼女は自らの半裸に「水のドレス」をまとって踊った。この扇情的な踊りは、1416年にダンジム伯国を征服したベイリフェス王によって禁止された。
《動作,青銅》を使った芸人では、1480年代、パーフェイの“針金の友”トーマス・ジュニアは針金で作った人形との漫才を披露した。針金を人間のように操りながら腹話術まで駆使した彼の芸は、むしろ芸人の間で評価されている。
《足かせ》を使った伝説の芸人に、1610年代にノースポイントで活躍した“ザ・パントマイマー”ウィレムがいる。彼は自分のパントマイムに《足かせ》と《馳せ足》で緩急をつけて、芸術的なパントマイムを演じた。