言語に関して
the House Rule about the Language
 

 『上級ルール』 p.102 には親類関係にある言語に関して互いに「困難度」を設定してみることを提言しており、これを反映して Glorantha Book, pp.33-35 にはグローランサの言語同士の「理解度」が示されている。
 だがここで2つの問題が起こる。
 1つは、グローランサにおける言語同士の「理解度」が極めて低い値に設定されていること。『上級ルール』では、ノルウェー語、スウェーデン語、デンマーク語は互いに 15% の困難度、すなわち 85% の理解度を持っており、これら3語は英語やドイツ語に対して 50% 、フランス語や他のラテン系の言語に対して 15% の理解度を持っていることになっている。これくらいあれば、ヴァイキングは北海周辺部のどこに行ってもさほど不自由を感じることはないだろう。また、困難が予想されるフランスなどへはあまり行こうとはしないだろう。このように、言語を設定することでプレイヤーの行動範囲をある程度制限することができる利点が、ここでは発揮される。だがグローランサにおいては、例えばサーター人がドラゴン・パスを冒険して歩くには、ターシュ語、グレイズランド語の習得が望まれるが、そのための訓練・研究はいかにも途方もない。これを避けるため、新ペローリア語や交易語といった世界語を導入すると、プレイヤーの行動範囲を限定することができなくなる。(私は、交易語は符帳であって、通常の会話に用いるには不適である、と思っている。)
 もう1つは、グローランサではこのように互いの言語への理解度が低いため、多言語の習得がぜひとも必要になるが、そのように多言語を習得した場合、言語の理解度がどのように加算されるのか(あるいはされないのか)が不明であるということ。例えば、ボールドホームに住むジェトリクスは〈サーター語会話〉90% 、〈エスロリア語会話〉20% を技能に持っている。彼がエスロリア語を話すときには、〈サーター語会話〉の 1/3 にあたる 30% 、個有の〈エスロリア語会話〉20% 、あるいは両者を足した 53% のいずれを使うべきであろうか。加算の場合、さらに彼が〈ターシュ語会話〉10% を学んだとしたら、エスロリア語を話すときには 54% となるのであろうか。

 私は上述の問題点を解決するために以下のような提案をする。

 まず、後者の多言語間の理解度の影響のあり方だが、言語の理解度は、いま使おうとする言語に影響する言語でもっとも高い理解度を提供する言語のみから与えられるものとする。また、いま使おうとする言語の技能を持っていて、その技能が与えられる理解度より低い場合は、理解度(のみ)を用いる。ということにしたい。
 上述のボールドホームのジェトリクスの場合、彼がエスロリア語を話すときには〈サーター語会話〉の 1/3 にあたる 30% を用い、彼が〈エスロリア語会話〉に 30% 以上の技能を持ったときにはじめて〈エスロリア語会話〉の値が使われるようになる。

 次に前者の問題だが、規定の理解度に修正することはあえてせず、習得の際に便宜をもうけることで格差を是正したい。
 〈外国語会話〉をはじめ、初期値が 0% である技能は、困ったことに「研究」のルールを適用すると 0 時間で 1D6-2% が与えられることになってしまうが、初期値が 0% である技能は最初に1週間(50時間)を訓練・研究に費やすことで 1D6-2% が与えられ、これで続く訓練・研究ができるようになる、ということにする。これは、プラスの値が出るまで何週間でも続けられる。〈外国語会話〉、〈外国語読み書き〉では、何らかの理解度を持っている場合、最初の1週間の訓練・研究なしで 1D4% が与えられ、訓練・研究ができるようになる。
 そして、〈外国語会話〉、〈外国語読み書き〉の訓練・研究で得られる技能値には理解度(最も高いもの一つ)が加えられる(端数切り上げ)。これで、より近しい親類関係にある言語の習得はずっと容易になるはずである。ロールの出目に理解度を加算した値は以下の通り。

  -1 0 1 2 3 4
.10 - .25 -1 0 2 3 4 5
.33 -1 0 2 3 4 6
.50 -1 0 2 3 5 6
.75 -1 0 2 4 6 7
.85 -1 0 2 4 6 7